【検査班(ロングレール・定尺)】鉄道会社社員が保線業務を解説~Part3~

普段私たちが何気なく使っている鉄道。
その“安全”は誰がどうやって守っているか知っていますか?
今回は線路を守る『保線業務』について、鉄道会社現役社員の視点からその実態・実務を詳しく解説します。

 

前回はPart2として検査班の業務分担(軌道変位)について解説しました。

 

今回は【検査班の業務分担(ロングレール・定尺)】についてです。

 

この記事で分かること・オススメな人

  • 世間で知られていない保線業務の実態
  • 入社初期に配属されることが多い検査班の業務分担 
  • これから鉄道会社へ就職を考えている方、保線関係の業務に興味のある方

 

検査班内での業務分担

保線における検査班では、その対象物や保全方法によりグループや担当が分かれます。
これも鉄道会社により異なると思いますが、私のところでは以下のように業務分担されています。

目次

定尺レールとは

  • 長さが規格で決まっているレール
  • 日本では昔から“25m”が標準の長さとして使われてきた
  • 工場で製造されそのままの長さで現場に運び、継ぎ目でつないで使用(場所により長さを加工したりもする)
  • 継ぎ目が多いので、列車が通ると「ガタンゴトン」と音がするのが特徴

    (※継ぎ目とはレールとレールを鉄板+ボルトでつなぐ構造)

メリット:輸送や交換が比較的容易

デメリット:継ぎ目が多く、乗り心地やメンテナンスの面で不利

ロングレールとは

  • 定尺レールを何本も溶接して、長く一体化したレール
  • 一般的には200m以上(場合によっては数km~数十km)つながっている
  • 継ぎ目が少なくなるので、列車が通るときの音や振動が減り乗り心地が向上する
  • メンテナンス頻度は少ないが、温度変化による伸縮管理が厳格に求められる

メリット:静かで滑らかな走行、保守の効率化

デメリット:輸送や敷設が大がかりになる、温度管理が重要

定尺レールの保全ポイント

1.継ぎ目部の管理がカギ

継ぎ目は疲労しやすく、ボルト及び継ぎ目板の緩み・割れ・欠損が発生しやすく軌道変位も進みやすい。

2.レール間のすき間管理

ロングレール程ではないがレールの伸縮があるため、レール間のすき間が適切な量になるよう管理する。

3.交換しやすい反面、管理頻度が高い

部分的な交換はしやすいが、頻繁な検査や補修が必要となる。

ロングレールの保全ポイント

1.温度管理が最重要

レールは温度で伸び縮みするので、管理を怠ると急激な軌道変位を発生させる可能性がある。
従って、緩衝用にロングレール特有の継ぎ目(レールの伸び縮みを吸収する装置)を設けたり、レール交換時にレールを温めたり引っ張ったりして温度(応力)を管理する。
また、レールが横にズレないように周りの石の量や締まり具合にも注意を払う。

2.溶接部・伸縮継ぎ目部の管理

溶接部や伸縮継ぎ目部は弱点になりやすく、超音波などで内部の亀裂を調べる検査や軌道変位の管理が必要となる。

3.切断・再溶接時の精度確保

工事や事故復旧で切断・再溶接する際は、必ず中性温度や軸方向のズレに注意。

まとめ

検査班のロングレール・定尺レール担当は、一見地味ですが、列車の安全運行を支える極めて重要な業務です。
特にロングレールは現代の鉄道に欠かせない技術ですが、温度管理や溶接部の検査など高い精度が求められます。
定尺レールはメンテナンス頻度が高いものの、交換が比較的容易で、状況に応じて使い分けられています。
保線業務は「大きな列車を動かすための繊細な仕事」だということが、少しでも伝われば幸いです。

 

以上、【検査班の業務分担(ロングレール・定尺)】について解説させていただきした。
こちらの内容につきまして、ご指摘や質問、リクエスト等ございましたら是非コメントいただけると嬉しいです。
出来るだけ速やかにご返信させていただきます。
これからも保線のリアルをお届けしていきますので、興味がある方はぜひ次回楽しみにしていてください。

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