【保線とは(組織概要と入社初期業務)】鉄道会社の現役保線社員による解説~Part1~

普段私たちが何気なく使っている鉄道。
その“安全”は誰がどうやって守っているか知っていますか?
今回は線路を守る『保線業務』について、鉄道会社現役社員の視点からその実態・実務を詳しく解説します。

今回は【組織概要と入社初期業務】について解説させていただきます。

 

この記事で分かること・オススメな人

  • 世間で知られていない保線業務の実態
  • 保線という業務における組織概要と入社初期の業務実態 
  • これから鉄道会社へ就職を考えている方、保線関係の業務に興味のある方

 

目次

鉄道会社における組織の概要

各鉄道会社やその時代により異なりますが、ざっくり以下のような組織形態をとっております。

工務関係の部門として、土木や用地など部門ごとに分かれる中の一つに保線があります。
その中で企画や計画など間接業務を担当する非現業部門と、検査や工事など直接的な業務を担当する現業部門に分かれます。
入社初期は保線区と呼ばれる現業部門に所属するのが一般的で、保線業務の基礎とも言える検査や管理の担当となることが多いです。
保線区は担当するエリアごとに存在します。

  

入社初期の日常業務(検査班)

入社初期は主に線路の検査や、その結果から得られた情報をもとに保全計画を立てたりします。
具体的な業務は以下の通りです。

 

基本はデスクワーク

あまりイメージにないかもしれませんが、基本はデスクワークです。
検査結果を取りまとめたり、その結果から優先順位を付けた保全計画を立てたりなど、業務時間の7割以上はデスクワークをしています。
一昔前と比較して外注化や機械化がかなり進んでいるため、保線の知識と同じくらいITスキルも必要になっております。

 
 

徒歩での線路検査

法令で定められている検査で、歩いて線路を診て列車の運行に問題がないかを全般的に確認します。
具体的には、線路を覗いて歪みや不陸を確認したり、ハンマーなので叩いて材料状態や沿線設備の確認を行います。
加えて、緩んだボルトの締結や砕石のかき上げなど、簡易的な補修を実施することもあります。

 

列車に添乗した動揺検査

こちらも法令で定められている検査になります。
営業している列車に添乗し、電車が揺れる箇所が無いか確認します。
位置を明確にする必要もあることから、運転手の隣に乗って前方を見ながら確認します。

 

材料交換の調査

レールやまくら木など、線路に使われている材料はそのほとんどが消耗品のため、程度が悪くなると交換が必要になります。
交換にはどこの材料をいくつ交換するかという計画が必要なため、そのための現地調査を実施します。

 

線路状態の調査

徒歩での線路検査や列車に添乗した動揺検査で発見した問題箇所について、保全計画を立てるための調査を行います。
軌道の変位は、軌間・通り・高低・水準・平面性等で管理しています。(各項目については今後の記事で詳しく説明します)
各項目について、現状値の確認と修正値を策定するための具体的な調査を実施します。
また、線路長手方向の移動状態や線路間の継目状態についても確認します。

 

保安体制確保の役割

上記にある検査や調査を実施する際には、列車との事故を避けるために見張り業務が必要になります。
列車の走行がない夜間に線路へ出る場合も、列車を侵入させない措置を講じてから線路内へ立ち入ります。
どちらも線路保全を安全に実施するための手順であり、人命を守るための大切な業務です。

 

まとめ

鉄道会社における保線関係のざっくりした組織図と、入社初期に日々実施する業務について説明しました。
線路は検査⇒内容確認⇒補修計画⇒工事⇒経過観察⇒検査・・・というサイクルで保全業務を実施します。
ここに記載する通り、まずはどのように検査し弱点箇所を見つけ潰していくか、というところが保線業務の根幹になります。
従いまして、入社初期はこの検査業務や補修箇所の策定業務を学ぶことが多くなるということです。

 

以上、【組織概要と入社初期業務】について解説させていただきした。
こちらの内容につきまして、ご指摘や質問、リクエスト等ございましたら是非コメントいただけると嬉しいです。
出来るだけ速やかにご返信させていただきます。
これからも保線のリアルをお届けしていきますので、興味がある方はぜひ次回楽しみにしていてください。

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